10年間の震災支援の報告

北海道にある日本医療大学総合福祉学部の笹岡真弓さんから連絡があり「東日本大震災被災者への10周年のソーシャルワーク支援の実践報告が本になったから送る」「震災後はMSWが役に立つから」「もうすぐ珠洲市で活動始めるから・・・」とのことでした。数日後、「公益社団法人日本医療ソーシャワーカー協会の相談支援1047ケースの実践報告」中央法規出版、という本が届きました。

とりあえず読み進めることにしました。前半は、報告書としてよく整理されており、うんうんそうだったのかと感心して読み続けられましたが、第3章「復旧期」、第4章「被災障害者支援」、第5章以降の1047ケースの分析は読み進めるのに時間がかかります。書かれている事柄の向こうにいる生身の人間のことが気になって仕方がありません。

第2部の「災害時特有のソーシャルワーク支援」では、仮設住宅、復興公営住宅、共助型復興住宅、在宅被災者の生活再建支援の様子が書かれています。第3部は圧巻で「災害時ソーシャワークの重点的課題」として心のケアやグリーフケアなどの各種課題が整理されています。第4部の【活動実践】個別支援の限界とソーシャルサポートのグループワークは、引きこもり家族や男性独居グループへの取り組み支援で、興味深かったです。第5部は石巻市からの委託事業の報告、第6部は現地で勤務したソーシャルワーカーの証言、終章は今後の在り方がまとめられているのです。

本を閉じた後、私にはこの本を評論する資格がないと思ったのです。より正確にいえば、日本医療ソーシャワーカー協会に所属するMSWの皆様に感謝したいし、報告書としてまとめていただいたことに対して敬意を表明したいと、強く思いました。

社会医療ニュースVol.50 No.584 2024年3月15日