当たり前を疑い続けながらそれでも可能性を極限まで追求していくぞ!!
勝って嬉しい花いちもんめ
負けて悔しい花いちもんめ
ワールドカップ(W杯)カタール大会12月1日にスペイン戦を征した森保一監督は、「みんなが世界の舞台で勝てることを示したてくれた」といいました。
ドイツ戦の勝利に『歓喜』したわたしは、スペイン戦については『勝てるのかな』と思いつつテレビ観戦していました。なにしろ『勝負強い!』と思い知らされました。代表26人の選手のうち19人が『欧州組』と呼ばれ欧州のクラブチームに所属しています。残り7人のうちゴールを守る権田修一さんを含め3人は欧州経験者なので、純粋な『国内組』は4人だけだそうです。サムライ・ジャパンは世界で羽ばたいています。
2006年のW杯ドイツ大会時の『欧州組』は、中田英寿さんら6人のみでしたが、前回の18年ロシア大会では18人でしたから、欧州クラブに呼ばれる選手が大活躍する時代になったのでしょう。06年6月22日ドルトムントのウエストファーレンスタジアム。4対1で負けた後のピッチで中田さんが倒れたままでしばらく動かない姿を、わたしはすぐそばでみつめていました。このゲーム後、中田選手は引退しましたので、つくづく『世界の壁は高い』ことを思い知りました。この日は対ブラジル戦でスタジアムはブラジル一色、ブルーのユニホームの人は300人位しかいなかったのではないかと記憶しています。
ドイツ大会決勝トーナメントでドイツはアルゼンチンに勝ち、準決勝でイタリアに負け、3位決定戦に勝利しましたが、この時のドイツはどこの街でも大騒ぎでした。特に、メルケル首相の大喜びは、忘れることができません。2014年ブラジル大会でドイツは悲願のW杯を手にします。強豪ドイツに日本が勝ち、決勝トーナメントにドイツがいないことを想定していた人をわたしは知りませんので、今大会のドイツ戦勝利は歴史的意味があると思います。
そして、クロアチア戦です。すばらしい深夜の3時間でしたね。どちらにもチャンスはあったし、前回W杯の準優勝国のクロアチアと互角の戦いです。ただPK戦は残念でした。それでも、サムライブルーは世界に通用する実力があることを世界に宣言してくれました。可能性を極限まで追求することを忘れてはだめなことを教えてくれたのです。
◎当たり前をもう一度疑う習慣を取り戻してみよう
2021年の国民1人当たり名目GDP(USドル)ランキングは21位で、時間当たりの労働生産性は47.3ドルにすぎません。そればかりか、日本の債務残高はGDPの2倍を超えており、主要先進国の中で最も高い水準にあります。75歳以上の人々が増加し、働く世代の人口は減少、出生数の低下に歯止めがききません。おまけに物価上昇に賃上げが追いつきません。
日本の勢いが復活せず、このまま極東の老いたドラゴンとしてのたうちまわるしかないのかな、とわたしが思い込むことがこの3年間何度もありました。明るいニュースもなく、政治も経済も社会もだめなのが「当たり前」なような気がして、やりきれない雰囲気になったりもしますが、生来の楽観主義者なのか「何とかなるだろう」とか「なるようにしかならない」と腹をくくってきました。
今回のW杯は、もしかしたら「当たり前をもう一度疑う習慣を取り戻してみる」ことが実は重要ではないのかという問いかけなのではないかと思います。考えるまでもなく「当たり前」も「常識」も「誰もが予測している」ことも、そしてあらゆる「計画」も、実はどうなるかわからないのに、将来を安易に予想しているだけなのではないでしょうか。
だから、今「当たり前を疑う」勇気と習慣が大切なのだと思います。
◎可能性を極限まで追求することを諦めない野生を追求
簡単に「諦めないで欲しい」と思います。「人生楽ありゃ苦もあるさ」「晴れた日ばかりではないが、やまない雨はない」などといいながら、長い歴史を私達は積み重ねてきたことは確かです。先達たちは今よりはるかに厳しい生活環境で「耐えながらも、決して諦めることなく挑戦してきたのではないか」と思います。どうも世の中便利になり、寒さや暑さに対する耐性も、ストレスに対する耐性も衰えてきたのではないかと思うことがあります。「ダメだ」なんて簡単に諦めないでください。
「お前は諦めが悪い」などといわれると「往生際が悪い」といわれているように勘違いしますが、そもそも「窮地に追い込まれて、負けを認めるしかない局面でもまだ、振舞いや態度に潔さがないこと」や「未練がましくぐずぐずしていたり悪あがきをしていたりする様子」といった意味だと思います。往生際とは「諦めなくてはならない状況での態度や決断力」「死に際」という意味ですから、どうせ死ぬなら「良くても悪くても」どちらでもいいのではないでしょうか。
わかっていないとお叱りを受けるかもしれませんが、わたしは生に対する執念を死の瞬間まで持ち続けたいし、そう簡単に「諦める」ことは、したくないと決めています。
何度考えても生涯「可能性を極限まで追求することを諦めない野生を追求」したいと思います。こう考えないと、スポーツマン魂も経営者魂も医療魂も福祉魂も、天に届かないような気がします。人間は野生を失ってはならないのです。
社会医療ニュースVol.48 No.569 2022年12月15日