医療福祉業界は報酬改定で右往左往
北国の春は、一瞬にして訪れます。雪が溶け始めると、すぐに新緑の芽吹きが始まり、植物たちは短い春を最大限に利用して、急速に成長し、花を咲かせます。動物たちも春の訪れとともに活動を活発化させます。冬眠から覚めた動物たちは、繁殖活動を始め、鳥たちは巣作りを始め、森は生命の息吹で満ち溢れます。それはまさに、「春爛漫」です。
この自然のリズムと共に生きる人々にとって大切な季節に、ウクライナやガザそして各国から人々が対立して武器を手にしている世界は、バーチャル・ゲームに押し込めリアル・ワールドからクリアしたいと思います。
立春後、医療福祉業界は報酬改定で右往左往し、4月に入って改定前後の詳細な報酬の置き換えが進み、悲喜こもごもといった状態です。各報酬改定では、2%強の賃上げ相当額が盛り込まれていますが、会計実務として面倒なことには変わりありません。大企業が5%以上の賃上げ満額回答、中小製造業でも5%台になる予想というような報道があるたびに、医療福祉分野は「置き去りにされている」という感情に包まれてしまうのです。
皆様、大人なので怒りをあらわにする人は少数ですが、人手不足で事業を休廃止せざるをえないとか、現状では採算確保が困難で経営継続性が困難なのに何ら有効な経営改善策が打てない組織が少なくありません。この時期、小さな判断ミスが大きな敗北につながりますので、正確に状況を把握し組織全体で取り組む体制を確保することが重要です。
今回の同時改定では、日本健康・栄養システム学会が実施した調査研究事業に全国の皆様からご協力いただき感謝です。お陰様で「口腔・栄養・リハビリテーションの一体的取り組み」は、診療報酬でも介護報酬でも高く評価され、学会事務局長として責任の一端を果たさせていただけました。残された課題は、主に通所介護や訪問介護における一体的取り組みです。この機会に皆様の組織の管理栄養士さんの学会加入を是非お願いします。今後は、栄養DXにも取り組みますのでご協力くださいませ。
今年は、医療DXや介護DXの勝負の時だと思います。日本介護経営学会第20回学術大会は、本年6月28日(金)13:00-17:00の予定で青森市アウガ5階「カダール」AV多機能ホールにてハイブリッド方式で開催します。テーマは介護DX、大会長は不肖小山が務めますのでご参加ください。介護DXに関する自由演題も募集していますので、学会HPでご確認ください。
社会医療ニュースVol.50 No.585 2024年4月15日