医療・介護報酬の在り方を見直せ

夏以降、まず介護報酬の見直し作業が本格化する。どのようなことになるのか、正直よくわからないが、COVID-19が経営に与えた影響は甚大で、介護報酬を引き上げない限り経営を継続できない経営体が急増することは明らかだ。パンデミックの影響についてはサービス種別や地域性それに感染者や濃厚接触者の対応に差があるため、介護報酬だけで対応するには明らかに限界がある。ただし、介護保険の報酬で経営されている施設や事業所は、すでに37万件以上となっているので、広範な議論が必要だと思う。その上での介護報酬改定であるが、現在の経営状況を正確に把握できない以上、技術的にかなり難しい作業だと思う。仮定の話だが、ある種類の在宅介護事業所の平均経常利益がマイナス7%だとしても、それでは7%引き上げますということにはならないからだ。

病院経営についても介護保険施設と同様な傾向があるが、感染者受け入れ病院の経営悪化を放置するのであれば、つぎの感染拡大に対応できなくなるので、診療報酬とは別の対応策を適時示すことが必要である。正直いって、今年度の補正予算の範囲内の対応では病院経営を継続できないことは明らかになりつつある。

感染者を受け入れなかった病院の外来患者や入院患者減から、つぎの感染拡大がなくとも今年度経常利益が確保できる病院の方が少数派にならざるをえない。このようなことは、わかりきっていることだし、ましてつぎの感染拡大時に、どうするのかというルールが全くみえない。経営的な医療崩壊が各地で起きることを防ぐ必要がある。

こうなると感染対応によって発生したことが明らかの損失分は、必ず補てんするという原則と、急激な患者減による経営悪化については、診療報酬で対応するという約束が必要だ。

社会医療ニュースVol.46 No.540 2020年7月15日