病院の夏季賞与の実態 

嘘偽りのない文章で、本当に胸を締めつかれる思いがする。多くの病院は、政府のこれまでの診療報酬締め付けがひどく、多額の長期負債を抱え、この数年間は経常利益を計上できればラッキーという状況になっている。経常利益が平均1%台だということは、標準偏差を考えれば、当然30%以上が経常損失を計上していることになる。国公立以外でバランスシートの上でほとんど借入金がなく、分厚い資本に満たされている病院は、この国に1病院以上あることをわたしは知っているが、逆に超過負債で、今後1年間経営継続が困難と考えられる病院が300病院以上あることも同時に知っている。

日本中の病院経営を把握するのは困難だが、国公立病院のすべてが経営上の困難なわけではない。ただ、業界の隠語で「別のお財布」とか「親の仕送り」と呼ばれている交付金や補助金で何とか経営できているに過ぎない。

それはそうと3病院団体調査報告の「夏季賞与」の支給結果は「満額」が71.3%、「減額」が27.2%、「支給なし」が0.8%であったと報告されている。私事に過ぎないが、実は病院経営者3人から「夏季賞与満額支払えないが、どうすればよいのか」と、申し訳なさそうに相談された。無責任かもしれないが「今は苦しい、でもここで従業員の皆様の士気が落ちるのは避けなければならないので、借入金で対応しましょう」といってしまった。わたしの本心であるが、3先生とも聞き届けてくれたのが、うれしかった。ただ、満額は約7割強しかなかったことについて、なぜかとても悲しい気分になった。

社会医療ニュースVol.46 No.541 2020年8月15日