人権週間

12月の4日から10日までは、人権週間なのです。東京都の広報の今年のキャッチフレーズが気に入りました。「感染症にかかったとき、僕を不安や苦しみから救ってくれたのはまわりの人のあたたかさでした。互いを恐れるのではなく、支え合う。」です。

東京都人権啓発センターのポスターには「家族が感染者だからなんとなく。病院関係者だからなんとなく。あの地域の人だからなんとなく。ネットでみたからなんとなく。なんとなく差別していませんか?」というのもあります。

ついでといっては何ですが「東京都新型コロナウイルス感染症対策条例」が改正されたそうです。特に都民・事業者の主な責務としてつぎの2項目が追加されました。「検査で陽性になった方は、入院や宿泊療養に、みだりに外出しないように努める」「必要な検査・調査を受けるとともに、感染の可能性がある検査への協力を促すように努める」です。

あたりまえだと思う人とか、当然のことをわざわざ条例にする必要がないのではないかと考える方もいらっしゃると思います。しかし、現実には感染症に対する差別は目を疑うばかりです。もし陽性ならひどい目に合うし14日間隔離されるのはヤダという理由で検査を拒否する人、ホテルでの宿泊療養に耐え切れず逃げ出して飲酒する人のことが報道されていますね。

本当に「自粛は日本人の美徳」などといって良いのでしょうか。感染した人が退職した。張り紙とか無視されて、いたたまれず引っ越しした。息子が感染したので、その父親が職場を退職した。まさか「村八分」とか「蟄居閉門」なんてことが起きていると想像すらできない人は、幸福なのかもしれません。「都市の空気は人を自由にする」というのは中世ドイツのことわざといわれていますが、逆に考えれば都市以外には「不自由にする空気がある」ということなのでしょう。人口約10万人都市のある理事長は「田舎ではあたりまえだよ」と目を伏せられました。なんか東京に住んでいる自分が極楽トンボなんだろなー、と再確認しました。

社会医療ニュースVol.46 No.545 2020年12月15日