緊急事態宣言の30日間世界はどんなに変わった
当初5月6日までであった緊急事態宣言は延期されが、諸外国のようなロックダウンではなく、基本的に自粛をお願いするだけの対応は、世界から驚きをもってみつめられていたようだ。
当日の厚労省公表の「感染症の現在の状況について」では、12時現在、感染者は15,345例、国内死亡者は543名とある。30日前の4月6日のこの数字は、3,654と73であったので、感染者は4・2倍、死亡者は7・4倍に跳ね上がったことになる。これだけでも、非常事態にほかならないが、この間、世界に激震が走った。
WHOは24時間毎の午前10時に「状況報告」を公表している。そこで、4月6日と5月6日の数字を比較してみることにした。
全世界では1,210,956例から、3,588,773例へ感染者が2・96倍増加した。死亡者は247,503人に達し、3・66倍増加したことになる。
30日間で何倍になったのかだけを比較すると、日本は、欧州よりも倍率が高かった。中国は、1・02倍と1・39倍に過ぎなかったので、数字だけみると封じ込めに成功したようにもみえる。
米国は、30日前の感染者と死亡者は307,318人と8,358人であったが、30日後では1,171,185と62,698人という恐ろしい数字となった。30日間で、3・81倍と7・50倍ということになる。人口が約3億3千万人であるので、総人口の0・34%の感染率ということになる。時間があったので、国別の人口当たりの感染率を計算してみると、イギリスが0・71%で、スペイン0・46%、ベルギーとアイルランドが各0・43%、スペインとスイスが各0・35%、ポルトガル0・25%、オランダ0・24%、フランスとドイツが各0・20%であった。
米国や欧州のニュースは、日本でも報道されるので、都市だけで比べるとニューヨークの状況が危機的であることや、スペインやイタリアあるいはフランスで医療崩壊が現実のものとなった。また、ドイツは、感染率がフランスと同じでも死亡者が比較的少なかったことなどが、改めて数字で確認することができる。
欧州は、この30日間都市封鎖した国が多いが、この間の感染者は、2・43倍、死亡者は2・99倍であった。長々と数字を並べてきたが、日本の対応がどうだったのかという判断は、いずれ歴史が明らかにすることになると思うので、何ともいえない。ただ、多少は統計に興味があるものとして、世界と比較して、ベストではなかったと、心の底で感じている。パンデミックは、世界が収まるまで終わらない。
社会医療ニュースVol.46 No.538 2020年5月15日