五輪とワクチンの関係?
首都圏4都県の緊急事態宣言が期間延長され、オリンピックは海外からのお客様を入国させないことにしたとの報道に対して、そうだろうな~という感想しか思いつきません。残念だと思うのが、せっかくの世界平和とスポーツの祭典であるはずのオリンピックが、なんだかんだとケチがついてしまっていることです。当初「復興五輪だ」といわれていたように思いますが、いつしか「コロナ収束を宣言したい」みたいな感じになり、でも、ワクチンも間に合わないし、多分、オリンピック・パラリンピック期間中もパンデミックが収束できないだろうと多くの人が思い始め、今では「開催できる」ことだけが目的になっているようです。よくわからないのですが、どうしても開催して欲しいと思う人より、そんなことはどうでもよいという空気ですよね。
東日本大震災と五輪は、聖火リレーの出発地が福島であること以外、関係がないというか、関心が全く集まっていないように思えます。むしろ、来年の冬季オリンピックまでに、収束できる可能性はあるのでしょうか。10年前16歳で被災した羽生結弦さんが、復興のために社会活動を続け、東北のために挑戦している姿は、コウゴウシイと思います。羽生結弦さんが銀盤で舞い終わった瞬間こそ、パンデミックの収束にふさわしいのではないかと、かってに想像しています。
五輪とワクチンのタイミングが合わないのは、どうしようもありませんが、イタリアからオーストラリアへの25万人分のワクチン空輸をイタリア政府が許可せず、この決定をEUも支持しているというニュースがありました。理由は、EU内でもワクチンが不足しているのに、輸出どころではないだろうということです。ワクチン争奪戦が静かに繰り広げられている事実を、垣間見たようで気分が悪くなりました。日本がどうなるかわかりませんが、全てのことが世界とつながっており、国内のことだけに関心があり、世界がどうなろうが関係ないということでは、生きていくのも困難な時代になっているのではないかと気づかされる毎日です。
なぜか五輪とワクチンというのは、島国である日本で議論されていることと、世界で考えられていることが真逆になっているのではないか思い知らされることがあります。五輪でいえば「アスリート・ファースト」、ワクチンでいえば「経済格差をワクチン提供に反映させない」という建前のようなことは、当然といえば当然なのだと思いますが、現実は真逆ということが起こりうるのです。世界のアスリートは、呼べば喜んで日本に来てくれるはずだと思っていると、そんなことはなかったという悲しい顛末になるのはやだな~、と心配しています。
社会医療ニュースVol.47 No.548 2021年3月15日