作品が見直される効果?

6月25日、警察官にジョージ・フロイドさんが殺されてから1か月過ぎた。略奪や暴行はなくなったが、週末の静かな抗議デモ参加者は世界で減少していないようだ。米国の人種差別の問題は、根が深いが、日本人にはよく理解できないし、そもそも関心も低いように思う。

多分、自分には関係ないと思っている人が大半なんだと思う。白人至上主義者からみれば、黄色人種は仲間でないことは、はっきりしている。ロンドンでタブロイド版の大衆夕刊紙を買ってみると、旧日本帝国軍人はサルのように描かれている。どうも「イエロー・マンキー」とは「ジャプ」と同義語のように使われることが多いように思えてならない。

過去にわたしは欧米で差別される側にいたことを何度か体験したが、そのことが記憶の奥深くにしみついているので、人種差別を他人事だとは思えないのだろう。もちろん奴隷という忌ま忌ましいシステムは、世界中でその歴史があるが、ふだんの生活には支障ないので、忘れさられていても問題ない。ただ、歴史は消せない。

突然「風と共に去りぬ」が配信中止になったというニュースにびっくりした。「映画は南北戦争前の南部を美化し、有色人種の最も痛ましいステレオタイプを永続させている」という米国の脚本家の批判が端緒だそうだ。

そうなのか~。アカデミー賞8部門に輝いたこの作品を生涯で10回以上みたわたしは、南北戦争とか、米国南部のイメージがスクリーンそのもので、ビビアン・リーとクラーク・ゲーブルは、ビッグスターとして刷り込まれた。それが人種差別映画の代表作といわれると、正直悲しかった。

ただ、時代は変わったのであり、正確に理解するしかないとも思った。その後、本編開始前に映画評論家の約4分半の解説動画をつけることで配信されることになったそうだ。たぶん、もう見ないだろう。

米国内のディズニーランドとディズニーワールドにある人気アトラクション「スプラッシュ・マウンテン」は改装されることになった。理由は映画「南部の唄」が黒人の描き方に偏見があるのでテーマの変更を求める署名運動があったからとのことだ。

これらのことが、どのような効果があるかどうかはわからないが、屈辱的だと嫌がっている人がいることは事実なので、いままで故意にではないが差別する側に加担していたことを含めて、なるべく素直に受け入れようと思う。

社会医療ニュースVol.46 No.540 2020年7月15日