今年の桜

今年の桜は、全国各地とても美しくみえます。多分、愛でる側の心がそうしているように思います。東京都内だけではなく京都、神戸、名古屋、富山、津山、佐久、犬山の各地を訪問し、その道中の花や山河を楽しみました。何ともいえない解放感が漂い、空港も駅も凄い人です。卒業式・春休み・入社式・入学式の季節の賑わいは、4年ぶりの体験ですし、4月6日の東京は、何か新しい良いことが起きるような青空で、満月は美しすぎました。ネイティブアメリカンの間で、寒い冬を超えて花が咲き始める様子から『ピンクムーン』と呼び「恋愛運を上げる」「好きな人と結ばれる」といったジンクスがあるそうです。 

今月大学3年4年生になる現役入学生は、高校の卒業式も大学の入学式もなく友達もいない遠隔授業を体験し、通学できるようになってからもマスク授業、換気とフィジカル・デスタンスをしいられ、昼食も黙食もちろんコンパなしです。人生で特に大切な季節を制限され、青春を謳歌できなかった学生さんに同情を禁じ得ません。 

なんとなく自由な行動制限が要請され、家にいる時間が長くなり、家以外での飲食がマレということは、それまでのライフ・スタイルの真逆でした。移動時間が削減されると、自由時間が増えます。読書と音楽鑑賞は不可欠でしたが、何を読むかどれを聴くかが毎日の課題です。つくづく思い知らされたのは、人間には文化生活とか地域生活というジャンルがとても重要なのだということです。 

定年後は「毎日が日曜日」なんて時代はなつかしい。ある程度の文化生活を維持するには、受給している年金額では十分でないことも体験できました。憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活」という重みをかみしめましたし、とても重要なことだと再認識しました。本当に青い空と海、山や川や森、それに詩も音も絵も生きるため必要で森羅万象に祈りと感謝を捧げることが大切なのだと改めて理解できました。 

社会医療ニュースVol.49 No.573 2023年4月15日