病院DXはエピックだ
日本病院DX推進協会の設立総会の準備のため僅か4日間で米国西海岸を駆け回りました。訪問した医療機関はサンフランシスコのUCSFのがん病院と小児病院、サンデイエゴのSHAPEへルスケアの建て替え工事が始まった記念病院です。UCSFとSHAPEへの訪問は実に33年ぶりで浦島太郎になったような感覚でした。これらの病院の情報システムの中心には、時価総額約6億3千万ドルの医療ソフトウェアを手掛けるEpic Systems社の存在があります。
エピックは病院で使用されている電子カルテとして世界中から注目されていますが、1979年に創業され、現在3億500万人以上の患者に電子記録を提供しているとのことです。少し説明しますとアメリカの医療では、患者に関する情報の全ては患者に所有権があり、患者自身がWeb上で過去のカルテをみることができます。診療する医師は、患者の既往歴を電子記録で確認できます。
今年4月以降、OpenAIの大規模言語モデルを活用し医療用AIの開発と医療への導入に加速度的に取り組み、多くの病院に提供し始めています。これらのシステムが病院内のスマートフォンやタブレットなどのデバイスと結びついているので情報処理時間は短縮化されています。
例えば、4病院で約千床を経営するUCSFでは、6700台のデバイスが利用されているとのことでしたし、サイバーセキュリティ対策も万全という説明です。AI搭載のエピックのシステムの優位性を体験することができ、最先端の病院情報も患者情報システムも理解できていなかったことを思い知らされました。
◎患者医師関係が変わる
各病院でいくつかのデモンストレーションを体験できましたので、患者医師間の例の一部を紹介します。まず、簡単な挨拶後医師が話し始めます。
「これからの会話を録音してもいいですか」ということで了承された後、通常の診療が進みます。医師の手にはiPadがあり前回の検査結果や今後の治療方針が示されますが対話はお互いに向かい合っています。診察が終了すると「今、録音した内容の要約をAIが作成しましたので、確認してください」その後「では治療に入りますが、要約内容を確認したというサインをパッドにお願いします」。
短時間のデモでしたが、いたく感心しました。録音していたのもパッド、検査結果などをみせるのもパッド、要約作成はAI、インフォームドコンセントも治療同意書も全てペーパーレスで、終了後エピックへの送信ボタンを押せば全て完了で、以降、患者サイドには病院が提供する入院患者用iPadがあり、医療チームとも絶えず情報共有できます。
社会医療ニュースVol.50 No.590 2024年9月15日