シュトゥットガルト・バレエ団の《オネーギン》と《椿姫》

食わず嫌いというより男一人でバレエの劇場に入る勇気がなかったので、これまでオペラを優先してきました。三浦公嗣・遊子ご夫妻のご厚意で、手に入りづらい6列目の席をゲットしてくれたので東京文化会館で開催されたシュトゥットガルト・バレエ団の《オネーギン》と《椿姫》を2日にわたって堪能させていただきました。

オペラ《エフゲニー・オネーギン》は、ロシアの国民的詩人プーシキンの同名の小説をチャイコフスキーが美しいオペラの傑作に仕上げたもので、2016年10月にマリインスキー・オペラの来日公演がありました。

劇場でのバレエ《オネーギン》は感動もので、チャイコフスキーのオペラの音楽をつかわず、彼のピアノ曲集『四季』作品37をはじめ数多くの作品から曲を集めてバレエ音楽に再構築しています。

英国籍の天才振付家ジョン・クランコは、1961年からドイツのシュトゥットガルト・バレエ団の芸術監督を務め、同バレエ団をヨーロッパ有数のバレエ団に育て上げましたが、73年に45歳で早世してしまいます。生涯で90作を超えるバレエを創り、代表作である《オネーギン》は金字塔です。

オネーギンを演じた今年45歳になるフリードマン・フォーゲルからは男の色気を、詩人レンスキー役のヘンリック・エクソンからあふれんばかりの若者の情熱をつたえられました。もちろんタチアーナ役エリサ・バデネスは、非の打ちどころがありません。

ジョン・クランコが育てたのが奇才振付師ジョン・ノイマイヤーで、彼のバレエ《椿姫》はデュマ・フィスの小説に忠実に、フレデリック・ショパンの楽曲を用いて振り付けたものです。1978年11月4日にシュトゥットガルト州立劇場大ホールでシュトゥットガルト・バレエ団によって初演が行われました。

ショパン押しの皆様には申し訳ありませんが、彼の曲は素晴らしいのですが、どの曲も同じようにめめしい感じで深入りできませんでした。それが、シュトゥットガルト・バレエを観ながら奏でられたピアノに改めて聴き惚れてしまいました。それと来年設立50周年を迎える東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の演奏は気合が入っていて素晴らしかったです。

シュトゥットガルトの州立劇場は戦火を奇跡的に免れた劇場で、ドイツオペラの聖地でもあります。公園を横切りホテルから劇場に向かう時、いつも足取りがスキップしたくなる感覚が忘れられません。ベンツもポルシェをこの地に本社と博物館があり、劇場の大口寄付者として劇場内に大きなマークが輝いていました。長期滞在してシュトゥットガルト・バレエとオペラに行きたいと思い調べたら、2025年から大改修するらしいのです。だとすると、来年6月までには行かないとならないと考えあぐねています。

シュトゥットガルト・バレエは、それほどの価値がありました。人生をみつめるだけの芸術に浸かりながら生きたいのです。感謝です。

社会医療ニュースVol.50 No.592 2024年11月15日