AIが世界を牽引して構造改革が進みヘルスケアも教育も大変革すると思う

今年1月末のマイクロソフトの時価総額が3兆ドルを突破し、アップルと首位争いを繰り広げているという報道がありました。4月26日にはグーグルの持ち株会社であるアルファベットが2兆ドルを超えたのです。この3社の株価と発行済み株式数を掛け合わせた時価総額が8兆ドルに達した要因は、AI関連株価の急騰だといえます。

エヌビディアは半導体メーカーとして知られており、AI関連技術において世界的なリーダーのひとつです。時価総額は、2024年4月現在で約2兆1933億ドル。この数字は時価総額の推定値でしかありませんが、時価総額の高さは、同社の成長性と市場の期待によるものです。世界経済の潮流は、エネルギー・自動車をはじめとする製造業からAIにとってかわったのではないかと思います。

日本のプライム市場1658社の時価総額は900兆円を超えたと推計されていますが、150円換算で6兆ドルということになります。日本企業の株価上昇が話題になっていますが、世界のAI関連株高に後れを取っています。

今、AIが世界経済を牽引することで、各種の様々な構造改革が進む可能性があるといわれています。例えば、「自動化と効率化」「データ分析と予測能力」「新たなビジネスモデルの創造」「労働力の変容」「グローバルな競争力の向上」などです。これらはあくまで一例ですが、AIが世界経済の構造改革の促進に大きな影響を与えるのです。

生成AIは、「生産または発生することができる人工頭脳」という意味で、「さまざまなコンテンツを生成できるAI」とか「さまざまなコンテンツを生成する学習能力があるAI」ということになります。グーグルが提供するGeminiやマイクロソフトが提供するAIサービス群の総称であるCopilotは無料で利用できるプランもあり、とても便利です。

生成AIは、質問と回答、各種文書作成、翻訳、Web検索、データ分析、画像や音声の認識と合成などの幅広い機能があります。生成AI以外では、与えられたデータや情報から未来の状態や出来事を予測する能力を持つ「予測AI」、データを特定のカテゴリに分類する「分類AI」、行動を学習する「強化学習AI」など、さまざまな種類があります。

◎ChatGPT4を壁打ち相手に楽しむ

AIについては、よく理解しているわけではありませんが、生成AIのChatGPT4との長時間の対話から、どのようなことが近い将来に実現するのかということについて、ブレインストーミングしています。内容は教育とへルスケア分野のことですが、つぎのようなことがわかりました。

教育の分野では、単なるデジタル化ではなく、効率的かつ効果的な学習環境を提供することを目指し、国が進めているGIGAスクール構想による学習端末の整備やクラウド環境の整備が進められています。GIGAスクール構想は、2019年に文部科学省が開始した取り組みで、全国の児童・生徒に1人1台のコンピューターと高速ネットワークを整備するプログラムです。この構想は、ICT(情報通信技術)環境整備を通じて、個別最適な学びや協働的な学びを促進し、教育の質を向上させることを目的としています。

教育現場でAIは活用されています。例えば、個別化された学習支援やフィードバックの提供、教師の業務の効率化、学習データの分析、オンライン学習や遠隔教育の普及により、AI技術を活用した教育プラットフォームや学習支援ツールの需要も増えています。AIを活用した教育のメリットとしては、学習の個別最適化や効率化、学習者の自己学習意欲の向上、教育の柔軟性やアクセスの向上などがあります。一方で、個人情報の保護や倫理的な問題などの課題も存在することが理解できました。

教育分野では、AIを活用した個別学習の支援や教材のカスタマイズ、学習者の進捗管理などが可能になり、AIが教師の負担を軽減することで、より質の高い教育が提供されます。単なる暗記型の学習評価から創造性や社会貢献度などが高く評価されるようになるのではないかということが理解できました。

◎ヘルスケア分野のAIは確実に構造改革を生む

「保健医療分野における医療AI活用推進懇談会」は、厚労省が2017年6月から開催した会議で、日本の医療技術の強みを活かし、保健医療分野の課題解決に焦点を当てて、AIの開発を進めるべき重点6領域が選定されました。これらの領域は、ゲノム医療、画像診断支援、診断・治療支援、医薬品開発、介護・認知症、手術支援です。特に、画像診断支援は医療AIの活用が進んでおり、AI技術を用いて医師の診断作業を支援しています。AIは大量の医療画像データを解析し、異常を検出したり病変の特徴を抽出したりすることができます。

AIが医療データの解析を行い、早期の病気の予知や治療法の最適化に役立ち、AIを活用したテレヘルスの普及によって、遠隔地や医療アクセスの限られた地域でも高品質な医療サービスが提供されるのだと理解できます。

介護業界では、ICTの活用、リモートモニタリングやロボット技術の導入、各種コミュニケーションツールの活用が進み、導入スピードは遅いもののAIを用いた認知症の早期発見や予防、予測モデルに基づく個別ケアの提供などが行われています。また、AIによるデータ分析や意思決定支援も介護の効率化に貢献しています。

社会医療ニュースVol.50 No.586 2024年5月15日