私たちAIに囲まれて生活しているのにこの現実に対応できず取り残されるのか

「現在、AIにできることの多様性は、ほとんどの人が想像または期待するものをはるかに超えています。AIによってある程度のリスクにさらされている仕事の数は、本当に驚異的なものです」

「私たちの教育制度、法的および規制の枠組み、社会制度、経済構造、そして企業は、すでに起こっていることに対して全く準備ができていません」

思わず膝を打つ。

ジェームス・スキナー監修「AIが書いたAIについての本」フローラル出版377頁に書いてある文章です。AIやDXについては、情報が氾濫ぎみです。あまりに表面的であったり、逆に超専門的で理解できないことばかりでした。

すでに毎日のようにAIを使用しているのに、そのことに気づいていないのです。インターネット上で気軽に本などを購入していますが、多数の人々の購入や閲覧の履歴に関する大量データを分析し、特定の人が今後購入するかもしれない商品を一方的に推奨してきます。ミュージックや映画も同様なのでしょう。突然メールで「この1カ月間あなたはここにいました」なんていう地図が示されたりします。全てが誰かに監視されているようにも思いますし、個人情報を多少犠牲にすれば快適な生活が楽しめるかもしれません。

AIの今後の発展は驚異的で、社会の仕組みが追い付いていないという指摘をしっかり受け止める必要があります。教育や社会保障制度の仕組みを見直す必要があるとか、医療サービスや各種対人ケアサービスなどに大幅にAIが導入されることは、確実です。

I know it’s true
It’s all because of you
And if I make it through
It’s all because of you
And now and then
If we must start again
Well, we will know for sure
That I will love you

The Beatles – Now And Then の歌詞の一部です。11月2日、ビートルズの最後の新曲”が英BBCのラジオでオンエアされ、同時にYouTube MusicやApple Musicなどでもリリースされました。この曲は、ジョン・レノンが1977年にニューヨークの自宅でピアノの弾き語りで録音したものをAI採用の音声分離処理技術でジョンのボーカルだけを抽出することに成功し新たに制作されたとのことです。感動です。

この歌詞「すべては君のおかげです。私たちが再出発しても、何とかなるのも君のおかげだ」という意味だと思うのは、私ばかりでしょうか?もちろん、恋心の歌なのですが、君がAIだとしても不思議でないように思うのですが?

◎AIは諸刃の剣発展は止まらず

AIが作曲した曲、イメージを伝えるだけで何十枚もイラストや絵画を作成する。世界中の言語の翻訳を瞬時に行い、異言語で会話ができ、そのうち恋愛小説や歴史書を書くことも可能になる。ALに制御されてあらゆる交通手段が無人化され、陸や空ばかりか深海や宇宙空間への移動が可能になるかもしれません。

労働集約型産業である医療サービスは、画像診断や生化学検査の技術革新が進み、病気の早期発見早期診断が可能になり、診断にはAIが多用され、ロボット手術が中心となり、経過観察やあらゆる記録が自動化される。誤診や見落としが減少し、患者安全がより確保できるようになり、看護業務は大幅に省力化できるかももしれないのです。

その一方で犯罪や戦争にAIは多用されることになるのです。無人のドローンや軍用機は、監視や偵察あるいは攻撃に使用され、いずれ人間が介入しないでもターゲットを選択し自動攻撃する武器が登場するそうです。そのうちAIの指示するロボット同士が戦うとか、テロ組織がAIを利用してサイバー攻撃を仕掛けてくることも予想できます。

著作権とか肖像権が侵害されることが多くなるのでしょう。言語や音楽、舞踏や美術あるいは建物などのあらゆる著作物の部分やパーツが大量にデータ蓄積され処理されるので、データとして取り入れられた著作物の全ての権利を確保することは、至難のワザということになるのだそうです。

最先端のAIのリスクを共有する目的で英政府主催の「AI安全サミット」で28カ国とEUが参加したが、EUはAIのリスク管理について年内にも罰金刑を含んだ規制案の作成を続けているが、まずは報告書をまとめることについて合意がなされただけのようです。

◎それでもAIは進歩し人々はAIにゆだねる

想像の範囲でしかありませんが、AIは確実に進歩し、人々はますますAIに依存するようになると思います。すでにだれも止められない状態に陥っていると考える必要がありそうです。

どのくらい賛同が得られるのかよくわかりませんが、AIの進歩を確実に人々の暮らしに取り入れ、多少の摩擦があってもAI時代の社会システムに転換することが必要なのです。

もはや、私たちにAIに取り残されるという選択はありえませんので、何とか学習を重ね使い込むしかないのです。

これは大事業になりますが、しっかり理解して、国のかたちを変革する一大事だと覚悟し、早急に国民的合意の形成を政治の責任として推進すること課題です。

社会医療ニュースVol.49 No.580 2023年10月15日