無年金高齢貧困者
後期高齢者で自営業の人から「まったく年金はない」という話を聞きました。事業主にだまされていた。勤めていた商店が倒産して、保険料が未納だった。公的年金制度で年金保険料支払うのは損だと思った。などなど理由を沢山話していましたが、最後は「死ぬまで働くしかない」とのことでした。
死ぬまで働ければよいのですが、後期高齢者でそうできるかどうかは分かりません。無年金者が全て貧困者ではありませんが、無年金の後期高齢者が働けなくなってしまうと生活を維持することが困難となる確率が急激に高まります。こうした無年金高齢貧困問題を完全に解消することは難しいことです。
65歳以上の無年金者が70万人程度、2%弱いるらしいことは各種統計で確認できます。65歳以上で生活保護制度を利用している人は200万人以上ですが、医療扶助や住宅扶助だけ受給していることが多いので、生活実態については正確に把握できるわけではありません。
はっきりわかるのは、未就業の無年金高齢者は、いつの時点かに貧困高齢者として生活保護制度の給付の対象となる確率が高いのです。私たちの社会は、このような人々を怠けものとして非難するのではなく、健康で文化的な生活をおくっていただけるよう相互連帯しているのです。
社会医療ニュース Vol.50 No.587 2024年6月15日